So-net無料ブログ作成
検索選択
恩田陸 ブログトップ

夜の底は柔らかな幻 上下 [恩田陸]


外伝「終りなき世に生れつく」
から読みました。

恩田さんのこの系統の作品に、まずびっくり。

こういうものも書く人だったのですね。

これがまた、面白かったです。


「イロ」とか「ヌク」とかの言葉とともに、
「途鎖国」とか「入国管理官」とか。


抵抗なくこの世界に入り込んでしまいました。


「山」に入る前の、
みつきと実邦の関係とか、
緊張感あふれる市内のシーンに引き込まれました。


「山」に入ってからは、
戦いの場になるわけですが、
結局、「神山」の顔のない息子は何者だったのか?


彼もその息子も、
山の「ほとけ」に捕らわれてしまったのか?


「在色者」ゆえの苦しみや、
戦い、殺戮の快感や、恐怖、といった個人が持つ葛藤を
描いていた上巻のほうに魅力を感じました。


下巻では山での「力わざ」とでも言うのでしょうか。
能力のぶつかり合いになって、とくに、
神山の幼い息子が「折りたたんで」しまうシーンなどは、
ちょっと誉田さんの「死体処理」の描写などとも重なって
かなり衝撃的であるとともに、単純に不快でした。



外伝やこの上巻では
「人」の範囲の話でしたが、
地底の「ほとけ」の存在が出てくると、
ついていけないように思いました。


葛城と実邦のものがたりでもある、
とは思うものの、終盤はこの二人の姿が小さくなってしまって、
圧倒的な力をもつ「ほとけ」の存在が
クローズアップされて。


そのために、異様な世界を見た、
というような感想になってしまうのが、
惜しいようにも思いました。



世界的な問題にもなっている、という設定の
「在色者」ですから、「人」の問題として、
(完結できるかどうかは分かりませんが)
の物語であって欲しかったと思いました。





夜の底は柔らかな幻 上 (文春文庫)

夜の底は柔らかな幻 上 (文春文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/11/10
  • メディア: 文庫



夜の底は柔らかな幻 下 (文春文庫)

夜の底は柔らかな幻 下 (文春文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/11/10
  • メディア: 文庫



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

チョコレートコスモス [恩田陸]


これは「蜜蜂と遠雷」のあとの作品ですね。

ピアノのコンクールから、演劇のオーディションに舞台が

変わりました。


この作品も「蜜蜂~」と同様に一気に読みました。


このよう戦いの場になると、

緊張感が増して、作者も力が入るのでしょうか。

とてもよかったです。

と同時に

作者の演劇に対する造詣の深さ、

脚本の知識だけでなく、演じるという行為そのものに

対する半端ない関心、役を演じるとはどういうことなのか、

考えさせられました。

「蜜蜂~」はクラシック音楽の特にピアノについて

文字で表すことに挑戦されていましたが、演劇もまた、

文字で表すことの難しさを思うと、

こうしたチャレンジに拍手を送りたいと思いますね。


しかし、

「飛鳥」は真似を研究し、

真似を極め、

演劇の世界へと飛び込むのですが、

この自意識の無さが今後どのように

変わってゆくのか、

見たい(読みたい)ものです。



この作者には気合の入った、このようなバトルを

書いてほしいです。










nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

蜜蜂と遠雷 [恩田陸]


久しぶりに一気に読みました。

こんなふうに夢中になったのは、

とても嬉しいことでした。

ピアノコンクールに集った

天才的なピアニストたちの物語。



音楽を語ることの難しさと、

心地よさ。


どちらも感じられました。


作者の音楽への造詣の深さと、

憧れと敬意、

そういうものが一体となって、

登場する3人の天才ピアニストたちの個性が

生き生きと描かれ、


さらには、

審査員の、彼らと向かいあう視線

また審査員自身の自分自身への視線、

そして、

少年・塵の存在とその師からの問いかけ。


人は常に、

自分が存在する意味を問いかけ続けながら

生きてゆく。

そういう

意味のある生き方をしたいと思わされました。



また、

そう思う一方で、

文字は音楽をどこまで表せるのか、

たとえば、

弾く人によって「ピアノの音が違う」と

書かれていますが、それはどういうことなのか。


(ここで自分は子どもの頃のまったく同じ

疑問を思い出します。同じピアノを弾いている

のに、なぜ音が違うのだろう?と。)

さほど「天才」でもない子供との「差」

この、物語に出てくるピアニストたちの間の「差」

それぞれの段階を思えば、

どれほどの差があるのだろうと怖くなります。



まあ、それはそれとして。

塵に触発されて

さらに先にすすむ亜夜。

それを見るマサル。


どこまでも行く才能の輝き。


とても美しく、

とてもいい物語を読んだ満足感でいっぱいになりました。








蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/09/23
  • メディア: 単行本



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

夜のピクニック [恩田陸]


何冊かこの人の作品を読んだのですが、

まずこの「夜のピクニック」の感想を。


同級生で異母兄弟。


お互い話をしたことはない。


「賭け」に勝ったことで、次に進むことにした、

貴子と、事実を知りながら黙ってみていた友人・みわりん。


高校生の青春だなあと思いました。


でも、


登場人物がかなり類型的?


長身、スレンダーな和風お嬢様、とか、


無口な、男らしい融くん、とか。


クラスに居そうなキャラクターたちです。


卒業前の、

夜通し歩く行事で、

普段言えないことが

話せるようになってゆく。


でも、それはたぶん、

作者が頭で考えたストーリーで。


融くんにも貴子さんにも


あんまり気持ちが寄っていかない感じ。


それは、言葉で説明しようとしすぎるからだと


思うのですよ。


彼はこんな子。

彼女はこんな子、というように。


だから、キャラを与えられた紙人形が動いているみたいな、

そんな印象がありますね。



「蜜蜂と遠雷」を読んだあとにこれを読んだので、


なんだか物足りない印象でした。


きっとこの作品が大好きな人がたくさん

いらっしゃるのでしょうが、ごめんなさい。











夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫




nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
恩田陸 ブログトップ